2022.09.23AKKOの遠足

見たかったな、北海道帝国大学工学部本館 『白堊館』

北大旧工学部校舎『白堊館』

これは、北大の旧工学部の校舎。
昔風に言うと、北海道帝国大学工学部本館。
尖塔がいくつかそびえた雰囲気のある建物だ。

1923年(大正12年)に建てられ
『白堊館』と呼ばれ親しまれた。
老朽化して1963年から1972年にかけて、とり壊されてしまったなんて、
なんとも残念…
  

北海道大学を訪れる

両親も天に召され、叔母が亡くなったときに
妹と父の母校を訪ねてみたことがある。

都内の大学を訪れる感覚で行ってみたら、
敷地が本当に広大で、驚いた。
車か、少なくとも自転車でなければ、
あちこち回るのは大変💦という広さ。

でも来たからには、工学部本館を目指さないと。。。と
正門から工学部まで、2時間は歩いたと思う。
アイスクリームなど食べながら、寄り道はしたけれども。

白堊館に少し似た雰囲気の建物

 
緑に囲まれた、広い敷地。
雰囲気のある建物。
道を尋ねると親切に教えてくれる感じのいい学生たち。
馬術部もあった。
ああ、なんで私はこの大学を選ばなかったのか。
父は、どうして北大を推してくれなかったのか。

いや、たぶん父は「北大はいいぞ」と言ってくれていた。
でも、私の意思を尊重して、強要はしなかったのだ。

父はスキー部で、詰襟の学生服姿でスキーをしている写真もあった。
かの三浦雄一郎氏や奥様も北大スキー部で、話をしてくれたことがある。

 
なんというか。親というのはいなくなってから、
いろいろ聞きたいことが出てきて、
生前もっと話を聞いておくべきだったと痛感する。
 

父が持っていた版画絵

この版画絵を初めて見たのは、
父がまだ元気なときに、書類などを整理していたときだった。
 
クリアファイルに無造作に入っているのを見て、
「これどうしたの?」と聞いたら、
「北大の同級生に絵の上手いのがいて、仲間にくれたんだよ」
と、教えてくれた。25枚のうちの貴重な一枚。
 
優雅な校舎。広い芝生に緑。
制服を着た男子学生とピンクのパラソルの女学生がちょっと離れて座っている。
ノスタルジアを感じさせる風景。
 
「欲しいか?やるよ」
と父は言ったけれど、想い出もあるだろうから、その時はもらわなかった。
 
父が亡くなった後、額装して飾ろうと決めた。
しかし、既成の額はどうもしっくりくるものがなくて、何年かそのままだった。
 

美しく額装されて

何年も経ったコロナ禍のある日、
素敵なお宅にお邪魔する機会があった。
白を基調にしたセンスのいいインテリアに見惚れながら、
お洒落な額がいくつもあるのが目に入った。
尋ねてみたら、デザイナーの奥様は額作りを習っていらっしゃったと。
 
ああ、この方に委ねてみよう。
 
無理を承知でお願いしてみたら、
いつになるかわからないけれども、と優しく引き受けてくださった。
そして、できあがったのが、この額である。

 
父が生きている間に、額装してあげたら良かった。
でも、きっと、この絵は絶妙なタイミングで
世界でたった一つの額に入って、
超スペシャルな私の宝ものになったのだと思う。
 
名前も知らない作者の方。
絵を遺してくれた父。
額装してくれた女神のような憧れの女性。
 
ありがとうございました。

✳︎参考にさせていただいたサイト✳︎

●北海道大学150年史編集ニュース
https://www.hokudai.ac.jp/bunsyo/images/hu150/publications/News/News_08.pdf 

●北海道大学学術成果コレクション
「北海道帝国大学工学部本館「白堊館」(1923年建築)について」
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/78192